プラスチックフィルムの利点と多彩な用途

プラスチックフィルムは、通常は厚さ0.1mm以下に薄く伸ばしたプラスチックのシートです。
製品の歴史は古く、天然のセルロースを使った「セロハン」はテープなどにも使用されてよく知られていますが、最近では原料などが工夫され、多彩な用途に対応できる様々な種類の製品が作られています。

 

扱いやすさと加工のしやすさ

プラスチックフィルムの利点は、木材や金属と異なり、扱いやすさと加工のしやすさにあります。
まずフィルムは非常に薄いので、カッターやハサミなどを使って容易にカットすることができます。
また、他の素材と貼り合わせることができます。
例えば、フィルムの表面に接着剤を塗布して、別のフィルムや金属箔などの素材と合わせることが可能です。
そして、フィルとフィルムの間に接着シートを置き、熱をかけて接着させることもできます。
さらには、直接加熱して別のフィルムと貼り合わせたりということも容易です。
また、フィルムの表面にコーティング、つまり樹脂や粘着剤などを塗布して、フィルム事態に色を付けたり、インクの密着を改善したり、表面が傷つくことを防止したりできます。
そのほかにもフィルムの表面に細かい砂をぶつけて、あえて表面をザラザラなものとし、白っぽい色調とするサンドマット加工、凹凸のついたロールを加熱してフィルムと密着させることで表面に細かい凹凸を作るエンボス加工などがあります。

 

成型する技術も開発され幅広く工業用品に使用されている

また最近では、成型する技術も開発され、幅広く工業用品に使用されています。
その中には空気の力や真空状態にして成型する技術もあり、方法によってはもろい素材を加工できたり、細かいデザインを表現できるなど、使用用途が広がっています。
この扱いやすさや加工のしやすさが、様々な製品へ展開され、有用性が増した要因です。
プラスチックフィルムは生活の中で欠かせない存在となっていますが、その中でも身近に使用されているものをいくつか紹介しますと、まず一つにポリエチレン製のものが挙げられます。
ポリエチレンの柔らかさを生かし、ラップやレジ袋などに使用され、シャンプーの容器やポリバケツ、灯油を入れる容器などに用いられる安定性のある製品です。
ポリエチレンと同様、よく使用されているのがポリプロピレン製の製品です。
ポリエチレン製のものより耐熱性があるので、食品包装やコート紙の材料などに使われています。
さらに、トリアセテートは写真用フィルムの材料として使用されていましたが、透明度の高さや表面が滑らかで光の屈折が起こりにくいとして、今では光学用として使用され、液晶の材料にもなっています。

 

プラスチックフィルムの用途

加えてアクリルフィルムはやはり透明度が高く、対候性があるので、建材や内装などのほか、装飾用品や光学用としても使用が可能です。
プラスチックフィルムは様々な素材の製品がありますが、実際、どんなところに使われているのでしょうか。
身近な製品としては、スマートフォンやタブレットなどが挙げられます。
画面に使われているタッチパネルにはガラスが使われることもありますが、プラスチックを用いることでタッチパネル自体を軽くし、かつ薄くできるメリットがあります。
さらに本体を覆う筐体部分にも整形されたフィルムが使用されていますが、フィルム加工を用いることで複雑な形のものにも対応し、価格を下げることもできています。
有用な別の用途としてはICカードが挙げられるでしょう。
フィルムの間にICと呼ばれる集積回路を挟み込むことで情報を記録でき、繊細なICを保護する役割も担え、首にかけたり手に持っていても重さを感じない点が利点です。

 

食品やお菓子に用いられている包装材

プラスチックフィルムを特に意識するのは食品やお菓子に用いられている包装材ですが、最近のフィルムは酸素や水分を通しにくいものなど機能性がアップしている製品が多いのが特徴です。

朋和産業評判より引用

プラスチックを用いたフィルムは屋外でも容易に見ることができます。
まず道路標識には、光が少ない夜間でも見やすいように加工されたフィルムが貼られています。
また最近では色鮮やかな広告が全面に描かれたバスをよく見かけますが、これはバスの車体に直接ペイントしているのではなく、デザインが描かれたフィルムをラッピングすることで実現していますが、塗装するよりも簡単にデザインを変えられることで、この「ラッピングバス」は人気です。
そして最新型の太陽電池は、電池パネルの表面や裏側にフィルムが使われ、そのことで軽量化が図られ、ロール状に丸めて持ち運ぶことができるとして設置を後押しするものとなっています。
加えて店舗のウインドウやディスプレイには、広告が書かれたフィルムが多用され、裏側には貼りやすくてはがしやすい粘着加工がされているので、時期やタイミングに合わせて広告を打つことが可能です。

 

まとめ

このようにプラスチックフィルムは取り扱いやすさや加工のしやすさ、価格の安さなどを背景に需要が増し、新たな加工技術が開発されることでガラスなど他の同様の製品からの転換がはかられています。
 

最終更新日 2025年6月18日