契約書を作成する際のルールと失敗しないための注意点

1.契約書の役割と目的

一般的に契約書とは、二人以上の個人や法人が当事者となって、様々な契約を行った際に、その契約内容を、だれが見てもわかるように文書化して、第三者に証明するために署名、もしくは押印したものを指します。

契約自体は、たとえ契約書がなくても口頭だけでも成立するものです。
この場合、簡単な内容の契約や、期間の短い契約の場合には口頭だけでも特に問題はありません。

しかし長期間にわたる契約や、内容が複雑である場合には、きちんと文書化する必要があるでしょう。
誰と誰が契約をし、その内容はどんなものなのか、またいつ合意したのか、その結果としてだれにどのような権利や義務が発生しているのかなどを、だれが見てもわかるように記す必要があります。

一般的には法律用語が使用されていますが、この法律用語が使われていることで、難しく見えてしまっているとも言えます。

2.契約書作成の基本的な構成と項目

●冒頭にタイトルが記載される

契約書を作成するにあたり、基本的な構成と項目については、まず冒頭にタイトルが記載されます。
実際には契約書と書かれていなくても問題はなく、契約内容を表すタイトルが付けられます。

分かりやすい名称で、何を目的としているのかが一目でわかるようにする必要があります。
覚書きなどの言葉を使うケースもありますが、内容を文書化したものであり、当事者の署名もしくは押印がなされているのであれば、覚書きというタイトルでも有効となります。

●どのような契約がなされているのかを要約して記載

二つ目に契約当事者間で、どのような契約がなされているのかを要約して記載します。
一般的に契約を行う当事者のことを文中では甲、乙と定義します。

「当事者の間で次の通り契約を締結する」といった内容の文章が入ることになるでしょう。
この文章は省略されているケースもあり、いきなり本文から始まることもあります。

●本文を箇条書きで記載する

三つ目には本文を箇条書きで記載することになります。
箇条書きの一項目を条と呼んでいますが、その内容をさらに区分する必要がある場合には、それを項と記します。

●末文には成立の確認と契約者の枚数などを記載する

最後に末文には成立の確認と契約者の枚数、どちらが何枚持っているのかといった内容を記載することによって、何かトラブルが起こった際に書類を持っていないという言い逃れを防止することにもつながります。

最後に作成日と署名捺印、もしくは記名押印となり、もしも不動産関係であれば登記事項などを署名の後に記載しておくケースもあります。

3.書き方のポイントやルール

このように基本的な作成方法に加えて、書き方のポイントやルールを知っておくも大切です。
まず最初に心がけたいこととして、言葉は省略せずに何回でも記載するようにしましょう。

場合によっては、文脈から判断できる言葉があるかもしれませんが、それを省略してはいけません。
日本語は主語を省略するケースがよく見られますが、省略することなく必ず主語から記載します。

そして独自の用語は必ず、第三者にもわかるような説明を記載する必要があります。
契約者の目的は、その内容を第三者に対しても分かりやすく記載するということなので、当事者間でしか理解できないような用語に関しては、その定義についても一般的な言葉で記載することが重要です。

また文章中に特定の名前などが使われる場合には、カギ括弧を使い括るようにしましょう。
そしてあいまいな解釈が成り立ってしまうような表現は避けるべきといえます。

読み方によって、解釈が分かれてしまう表現はあるものです。
文章により二通りに解釈可能となるケースもあり、このようなことを避けるためにも、文章の中では、読点が多用されることになります。

4.時間や金銭などの数量化が可能な事項についての注意点

主語を明示するためや、副詞や接続詞の明示など、さまざまな目的で使用されるので、普通の文章に比べた時に、読点が多くなる傾向にあります。

次に時間や金銭などの数量化が可能な事項については、できる限り具体的に記載することが大切です。
例えば商品代金の支払日など、商品が納入された後にすぐに支払うという記述はあいまいです。

すぐにという言葉の意味が、個人により異なります。
そのため具体的に十日以内、1か月後などというように記載する必要があるでしょう。

そして専門家以外の人にとって一番難しいことが、法律用語に基づいて書くということです。
例えばすぐに支払うという表し方は良いものではなく、この場合にはただちに、延滞なく、速やかに等のような言葉を使うことになるでしょう。

5.専門家に作成を依頼することが望ましい

しかしこれらの三つも意味が微妙に異なり、強制力を考える必要もあります。
同じような意味だからいいだろうと簡単に了承してしまった場合には、のちにトラブルのもとにもなる可能性があるので、重要な契約の時や、トラブルが起きそうだと感じる場合には、契約書作成を専門家に依頼することが望ましいといえます。

このようにさまざまな関連事項を含め、一から作成するのはなかなか困難なことです。
そのために使われるものとして、テンプレートが挙げられます。

このようなものを上手に活用していくと良いでしょう。
一般的なテンプレートでカバーできる内容ではあるけれども、重要なものやリスクが高いときには、テンプレートを使って作成したものを、専門家にチェックしてもらうのも一つの手段です。

最終更新日 2025年6月18日